今回は、開業医としてクリニック経営をする際によくある悩みと、解決方法について紹介します。医師となったからには、将来的に自分のやり方で経営を目指す方も多いでしょう。ただ、開業する場合は医師の仕事だけではなく、経営者としての仕事も増えるでしょう。本記事では、クリニック経営のよくある悩みと解決方法について紹介します。
人間関係に関する悩み
クリニック経営をおこなう際、どうしても人間関係に関する悩みが出てくるでしょう。ここでは、人間関係に関する悩みについて紹介します。
良い人材が集まらず人が辞めがち
開業に向けて人材募集をかけても、思うような人材が集まらない場合があります。もし良い人材が集まらない場合は、給料の条件や人材会社を変えるなどの工夫が必要です。
また、良い人材が集まってもすぐにやめてしまうケースもあるでしょう。新たに人材を採用する際は、採用コストが多くかかります。採用時は、長期的に働ける人材かどうかしっかり見極めましょう。
スタッフ同士の仲が悪い
人間関係のトラブルは、スタッフの早期退職を招く原因となります。経営者であれば、スタッフ同士の不和にいち早く気が付くことも必要になります。
週に1度は社内会議をおこなうなどして、スタッフ側からの悩みを聞きだし、風通しの良い職場にすることも経営者の手腕の見せ所です。また、新人にいやがらせをする人材は絶対に放置してはいけません。状況によっては、しかるべき対処をする必要もあるでしょう。
社労士や委託先など外部の人間関係でトラブルが起きる場合も
社労士や税務士など、クリニック経営をサポートしてくれる人と良好な関係を築くことも大切です。まずは、事前にしっかりと信頼できる相手かどうか見極めましょう。
万が一契約後にトラブルが起きた際は、早期に問題を解決し契約を打ち切ることもできます。契約解消後は、新しく信頼できる依頼先を見つけましょう。
設備・技術面の悩み
開業する場合、医療機器や電子機器などあらゆるものが必要となります。開業医としての、設備・技術面の悩みについて紹介します。
機材トラブル
機材トラブルは、機材そのものに問題がある場合や、機材同士の連携がうまくいかない場合もあります。トラブルにすぐ対応できるように、購入やリースの際にはサポート体制を確認しましょう。
IT化に対応できる医師に
医療機器の発展は目覚ましく、新たな機器が日々商品化されています。ITに疎い医師だとしても、電子カルテやレセプトコンピューターの操作などは覚える必要があるでしょう。
ただし、設定や接続などの専門分野に関しては、業者に頼ることをおすすめします。また、電話や電気といった公共の設備は接続までに時間がかかる場合があるため、早めにスケジュール調整しておきましょう。
物件の状態・設備について
開業前に理想のクリニックをあれこれ考えていても、こうするべきだったと後悔することも珍しくありません。特に継承の場合は新規開業とは異なるため、場合によっては余計なコストや手間が発生する場合もあります。
お金に関する悩み
クリニックの開業をする上で、思うように患者が入るかが一番の問題と言えます。クリニックを開業する上での、お金に関する悩みについて紹介します。
患者が来ない
クリニックの開業をしても、患者がこない場合もあるでしょう。患者が来なければ、おのずと利益も上がらないため経営に支障をきたします。開業に先駆けて、集患のための対策を講じて、軌道に乗るまでは貯蓄などでまかなう必要もあるでしょう。
また、利益が上がらない場合は優秀な事務長を雇うこともひとつの手段です。ただし、専門家と対等に話し合えるだけの知識は、経営者として身につけておく必要があります。
再診率が低い
初診の患者がたくさん来ても、再診率が低ければなかなか経営が軌道にのりません。もし増患できなければ、その理由を分析していく必要になります。
例えば、患者アンケートによって不満な点を調査し、予約が取りにくいという声があれば、予約システムを導入するなどの対処が必要です。再診率が低い場合に講じるべき対策はケースによって様々なので、臨機応変な対応が求められます。
思った以上に経費が掛かる
クリニック経営は、経営する以前に思った以上の経費が掛かります。設備費や人件費はもちろん、スタッフの福利厚生や接待交際費などさまざまな経費が掛かるでしょう。
どういったことにいくら掛かるのか、月々いくら掛かるのか把握しないままクリニック経営をおこなうと、経費だけでお金が底をつきてしまう可能性があります。
また、最新の機器にお金をつぎ込みすぎると、あっという間に資金不足に陥ります。そのため、クリニックを経営するには計画的な資金運用が求められるのです。
まとめ
クリニック経営は医療提供と経営管理のバランスを取ることが求められ、多くの悩みが伴います。人間関係では、良い人材を集め維持すること、スタッフ間のトラブル解決、外部の専門家との良好な関係構築が重要です。設備・技術面では、機材トラブルへの対応、IT化への適応、物件や設備の状態に注意しましょう。お金に関する悩みとしては、患者の集客、再診率の向上、経費管理が挙げられます。これらの課題を解決するには、計画的な資金運用や専門家の助言、スタッフの意見を取り入れた柔軟な対応が求められます。開業医として成功するためには、医療の質を保ちながら経営者としてのスキルも磨くことが不可欠です。本記事の内容が、クリニック経営を検討している人の参考になれば幸いです。