診療報酬改定が2024年に行われました。2022年に発表された告知では、電子的保険医療情報活用加算という項目が新説されたことが注目されていました。また、2024年にどのような改定が行われたのか知っておくことが大切です。本記事では、2024年の診療報酬改定で抑えるべきポイントについて詳しく解説します。
2024年診療報酬改定のタイミング
2024年の診療報酬改定は、従来の4月1日施行ではなく、新たに6月1日施行となります。従来、診療報酬改定は2年に一度行われ、4月1日の施行という流れでした。しかし、2024年の改定では2ヶ月後ろ倒しの6月1日から施行されることが変更点の一つです。
変更の背景には、システムベンダーや医療機関の負担軽減を図る目的があります。2ヶ月後ろ倒しにして告知から施行までの期間を延ばすことで、改定内容の周知やシステム移行のスムーズ化が期待されています。これにより、医療現場での混乱を最小限に抑え、円滑な運用が可能となるでしょう。
雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革が求められる
日本の高齢化に伴い医療需要が増加する一方で、医療従事者の数が不足している現状があります。実際に、医療現場では慢性的な人手不足によって、休みがとりにくくなっていたり、長時間労働が慢性化していたりするところもあります。
さらに、医療従事者が足りないのは現在だけでなく、将来的にも足りなくなることが予想されており、2024年の診療報酬改定では、この問題に対処するための対策が求められています。
今回の改定では、医療の質と安全性を確保するために、医師や看護師などの医療従事者が健康で働き続けられる環境を整備することが重視されています。具体的には、医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取り組みとして「ベースアップ評価料」が新設されました。
さらに、内科や整形外科、精神科など診療科ごとに、必要に応じた改定が計画されています。このように、2024年の診療報酬改定は、医療従事者の働き方改革を進め、持続可能な医療体制の確立することを目指しています。
医療DXの推進も重要な課題
2024年の診療報酬改定では、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も重要な課題となっています。
医療DXとは
そもそも医療DXとは、病院や薬局、訪問看護ステーションなどの医療機関におけるデジタル技術の導入を指し、AIやビッグデータを駆使して業務の改善や課題解決を図ることを指します。
医療DXを進めていくことで、業務効率の改善が期待でき、人手不足や長時間労働の解消が可能です。また、デジタル化の遅れを軽減したり、医療機関の経営状態の改善も期待されています。
医療DXのメリット
また、医療DXの導入には、多くのメリットがあります。たとえば、医療や介護業務の品質向上が期待されます。業務の効率化はもちろん、電子カルテを導入することで医師・看護師間での情報共有がしやすくなります。
これにより、一貫性のあるケアが提供されやすくなるでしょう。担当の医師や看護師が変わっても、常に安定した医療を受けられるのは、患者にとって大きなメリットです。
また、業務効率化されることで、スタッフの負担が軽減され、業務のスピードや生産性の向上も期待できます。業務効率化に伴い、コスト削減も実現できるため、経営状態改善も期待できます。
このように、医療DXは複合的なメリットをもたらします。そのほか、医療データを保存しやすくなることも大きなメリットです。デジタル化により、情報のバックアップや復旧が容易になり、データの損失や管理のリスクが減少します。
患者の情報が安全に保管されるので、必要なときに迅速にアクセスできるようになるでしょう。なお、医療DXの具体的な取り組みとしては、電子カルテを導入してペーパーレス化を進めること、オンライン予約やオンライン診療の導入、ビッグデータの活用などが挙げられます。
医療DXの推進にはコストがかかるため、診療報酬改定によって「医療DX推進体制整備加算」を新設し、整備していくとしています。
このように、診療報酬の改定は変わっていく医療現場のニーズに対応することを目的として、2年に一度のペースで実施されています。クリニックの経営者や医療従事者はもちろん、患者も医療業界でどのような変化が起こるのか注目していきましょう。
まとめ
2024年の診療報酬改定では、これまで4月1日施行だった改定が、2024年からは6月1日に施行されることになりました。告知から施行までの期間を延ばすことで、医療機関の準備やシステム移行の円滑化が期待されています。また、日本の高齢化に伴う医療需要の増加と医療従事者不足に対応するため、医療従事者の人材確保や賃上げを促進する「ベースアップ評価料」の新設が見込まれています。さらに、医療DXの推進も重要視されており、AIやビッグデータを活用していくことが期待されているのも特徴です。具体的には、電子カルテの導入やオンライン診療の拡充などが挙げられます。医療DXによって、業務効率やコスト削減、データ管理の向上が目指しているのです。