これからクリニックを開業するにあたって、顧問税理士を探している方もいるでしょう。ただ、数多くいる税理士の中から、どうやって自分にあった税理士を見つけたらいいかわからない方も多いでしょう。そこで、今回はクリニックの開業医が税理士を選ぶときに押さえておきたいポイントや税理士のおすすめの見つけ方を解説します。
税理士の役割とは?
税理士に依頼する前に、そもそも税理士とはどういう役割の存在なのかを理解しておくことが大切です。税理士の役割は、主に「税務の代理」「税務署類の代理作成」「税務相談」の3種類です。
税務の代理業務では、税務署への申告や申請などを代理で行います。また、万一税務調査が行われた場合は、税理士が立ち会ってくれます。そのほか、税務署への不服申し立てなども代理で行うのが税理士業務のひとつです。
また、税務署類の代理作成においては、確定申告書や法人税申告書、償却資産税申告書などの作成業務を行います。そのほか、法定調書や源泉徴収票の作成も代理で行ってもらえます。
さらに、税務相談では、納税額の計算方法や節税対策に関する相談が可能です。
クリニックの開業医が税理士を選ぶときに押さえておきたいポイント
税理士の役割を理解できたものの、数多くいる税理士の中からどうやって自分にあった税理士を選べばいいかわからない方も多いでしょう。
ここでは、クリニックの開業医が税理士を選ぶときに押さえておきたい5つのポイントを詳しく紹介します。
税理士報酬
通常、税理士と契約するときは税理士報酬が発生します。決算期だけ税理士に依頼する場合はスポット料金がかかり、税理士と顧問契約する場合は顧問料が発生するのが一般的です。
税理士報酬については、税理士によって違いがあるのはもちろん、年商や定期面談の回数などによって変わります。さらに、税理士によって報酬に含まれる内訳に違いがあるので、内容をしっかりと確認しておくことが大切です。
たとえば、顧問料に記帳代行料や税務署への申告料が含まれていないことも珍しくありません。さらに、毎月の顧問料とは別に、決算期には決算料がかかるケースもあります。税理士によって税理士報酬に違いがあるだけでなく、顧問料の内容にも違いがあるので、内容を確認することが大切です。
経験と実績
税理士を選ぶときは、税理士に経験と実績を確認することが大切です。税理士の資格をもっていれば、税理士業務を行うことが可能です。しかし、中には実務についたことがない税理士がいるケースも少なくありません。
また、これまで対応してきた事業規模などにも違いがあることもあるでしょう。とはいえ、経験と実績が多いからといって、一度も会わずに依頼するのは危険です。
税理士によっては、得意分野があることがあり、可能であれば医療業界の知識がある税理士に依頼したほうがいいでしょう。そのため、候補となる税理士が見つかったら、面談を行い、これまでの実績を聞いたり、医療業界の税務の知識があるか確認したりすることをおすすめします。
事務所の規模
税理士を選ぶときは、事務所の規模を確認することが大切です。というのも、ひとえに税理士事務所といっても、個人で税理士事務を行っているところから、数百人規模で対応している大規模な税理士法人があるのです。
ただし、規模が大きいからといって、信頼できる税理士事務所とは限りません。大規模な税理士法人の場合、クライアントの数も多いので、レスポンスが悪いケースがあります。さらに、担当者によってスキルに違いがあるので、当たりはずれがあることもあるでしょう。なお、大規模事務所によっては、事業規模によって税理士免許をもったスタッフが担当についてくれない可能性もあります。
一方、個人事務所の場合、柔軟な対応をしてくれる可能性が高いです。そのほか、顧問料が大規模事務所よりも安い傾向にあります。しかし、税法の変更などの情報反映が少し遅い可能性があります。
いずれの税理士事務所も特徴が異なるので、それぞれの内容を理解したうえで、選定することが大切です。
サービス範囲
サービスの範囲を確認したうえで、税理士を決めることも大切です。税理士によっては通常の税理士業務に加え、経営コンサルティングや資金繰りの助言などをしてくれるケースもあります。
さらに、決算前の税額シミュレーションをしてもらったり、節税アドバイスをしてくれたりするケースも少なくありません。税理士によって対応してくれるサービスに違いがあるので、顧問料にはどういった内容が含まれているのか、そしてどういったサービスに対応してくれるのかを事前に確認しておきましょう。
得意分野
税理士によって得意分野が異なります。製造業に得意な税理士や飲食店に精通している税理士もいます。そのため、クリニック開業医が税理士を選ぶときは、医療業界の知識をもった税理士を探すことが大切です。
さらに、経営コンサルが得意だったり、節税対策が得意だったり、税理士によってもっているノウハウに違いがあったりします。そのため、気になる税理士と面談して、自分に合った税理士を見つけることが大切です。
税理士のおすすめの見つけ方
税理士を選ぶときのポイントは理解できたものの、そもそもどうやって税理士を見つければいいのか疑問に思う方も多いでしょう。
ここでは、税理士のおすすめの見つけ方を詳しく紹介します。
紹介
ほかのクリニックの先生に税理士を紹介してもらう方法があります。ほかの先生が顧問契約しているところであれば、クリニック経営の知識があるということなので、依頼しやすいでしょう。
とはいえ、紹介してもらった税理士だからといって、必ずしも自分にあった税理士とは限りません。税理士と顧問契約するまえに、面談を行ってどういった税理士なのかを判断することが大切です。
インターネット検索
インターネットから税理士を探すのもおすすめです。エリアや業種を絞って検索することで、マッチする可能性がある税理士を見つけられるでしょう。
ただし、公式サイトには、いいことばかり書かれていることが多いです。公式サイトに記載されている内容と実際の口コミや評判と異なる可能性があるので、レビュ-サイトなどを見て判断することが大切です。
税理士マッチングサービス
昨今は無料で利用できる税理士マッチングサービスがあります。エリアや事業規模などを入力すると、複数の税理士から見積もりを取ることが可能です。
また、マッチングサービスによっては無料で税理士と面談できるので、複数の税理士と面談したうえでじっくりと選びたい方にぴったりでしょう。しかし、税理士マッチングサービスを利用して税理士と顧問契約した場合、税理士はマッチングサービスに対して手数料を支払わなければならないことがほとんどです。
そのため、手数料分が顧問料に上乗せされたり、契約期間に縛りがあったりする可能性があるので、あらかじめ確認しておきましょう。
まとめ
クリニックの開業医が税理士を探すときは、税理士の経験や実績に加え、事務所の規模や税理士報酬などを確認することが大切です。さらに、医療業界の知識があるかどうかもあわせて確認しておくといいでしょう。また、数多くいる税理士の中からぴったりの税理士を見つけるには、ほかのクリニックの先生から税理士を紹介してもらったり、税理士マッチングサービスを使ったりするのがおすすめです。そのほか、インターネットから税理士事務所を検索して、時間をかけて選定するのもいいでしょう。今回紹介した税理士のおすすめの選び方をぜひ参考にしてください。