これからクリニックを開業するにあたって、どうやったら経営がうまくいくのか疑問に思われている方もいるでしょう。クリニックを開業時は、成功事例だけでなく、失敗事例も知っておくことが大切です。そこで、今回は開業医のよくある失敗について解説します。さらに、失敗しないためのポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
開業前のよくある失敗事例
クリニックを開業するときは、どのような失敗事例があるかを知り、事前に対策しておくことが大切です。ここでは、クリニック開業前によくある失敗事例について詳しく紹介します。
無理な計画
クリニックの開業前でよくある失敗事例として挙げられるのが、無理な計画を立てることです。クリニックを開業するにあたって、物件を探したり、内装工事をしたりすることに加え、チラシを作成したり、求人したりするなど、さまざまなことを準備しなければなりません。
しかし、どうしても計画通りにいかず、スケジュールが狂ってしまうケースもあるでしょう。そのため、事前に専門家にスケジューリングの相談をしたり、余裕をもった計画づくりをしたりしておくことが大切です。
高額な医療機器の導入
高額な医療機器を導入することも開業前のよくある失敗例として挙げられます。質の高い高度な医療を提供したいという気持ちから、高額な医療機器を導入したいと考える方も多いでしょう。
しかし、使用頻度が低い医療機器については採算があわず、融資の返済が大きな負担となってしまうケースも珍しくありません。とくに、医療機器は高額なものが多いので、どういった医療機器を導入するかを慎重に検討することが大切です。
また、開業直後はなにかと経費がかかるので、開業初期については中古の医療機器を購入したり、リースで対応したりするなど、別の方法を考えることをおすすめします。そのほか、使用頻度が少ない機器については、一部の診察や検査を外部委託するといった手段を検討しましょう。
開業候補地の選定ミス
開業候補地の選定ミスもクリニック開業前のよくある失敗事例として挙げられます。予算の兼ね合いで、できるだけ安い開業地を選ぼうとする方もいるでしょう。しかし、人目につかない場所で開業しても集客できず、売上を確保できないといったケースも珍しくありません。
また、エリアによっては車を使うことが当たり前の地域もあります。そういったところでは、駐車場があるかないかも集客に影響する可能性があるのです。
したがって、賃料だけで開業候補地を選定するのではなく、アクセスのよさや敷地の広さ、周辺施設などを総合的に考慮したうえで選ぶことが大切です。さらに、現状は空地が多いエリアであっても、これから開発が進められる可能性があるところもあります。
開発計画の有無を役場に問い合わせて、判断するのもおすすめです。
内装設備が患者属性に合っていない
内装装備が患者属性に合っていないという点もクリニック開業前のよくある失敗事例として挙げられます。来院する患者のターゲットを見据えた内装計画を立てることが大切です。
たとえば、小児科などのこどもをターゲットにする場合は、内装をカラフルにしたり、キャラクターや動物などのイラストを使ったりするのがいいでしょう。一方、高齢者の患者が多いことが推測される場合は、落ち着いた雰囲気に仕上げるのはもちろん、バリアフリーを徹底することが大切です。
そのほか、キッズスペースを設けるかどうか、待合室のイスの数はどれくらい必要かなどもあわせて検討しましょう。
開業後のよくある失敗事例
クリニックを開業するにあたって、開業前だけでなく開業後にはどういった失敗事例があるのかも知っておくことが大切です。ここでは、開業後の具体的なよくある失敗事例について、詳しく見ていきましょう。
経営の知識不足
クリニック開業後のよくある失敗事例として、経営の知識不足やコンサルに丸投げしてしまうことが挙げられます。開業医になるということは、医師としての知識や経験が必要なのはもちろん、経営者としての知識も必要です。
とはいえ、経営の経験がないことから、コンサルに相談する方も多いでしょう。コンサルに依頼すること自体は問題ではありませんが、完全にコンサルにまかせっきりになるのは非常に危険です。
あくまでも医師自身が開業準備を行い、クリニックを軌道に軌道に乗せられるように運営していく必要があります。そのためには、経営知識が必要となります。
売上と経費の関係について検討したり、集客はどうしたらいいのか考えたりするなど、しっかりと準備することが大切です。そのほか、昨今は経営分析システムが搭載された電子カルテなどがあるので、そういったソフトを使用するのもいいでしょう。
しかし、ひとりで準備するのには手がまわらないといったケースもあります。そういったときは、右腕となってくれる事務局長や副院長を雇用するのもおすすめです。
スタッフが定着しない
クリニックを運営するにあたって、スタッフの協力は必要不可欠です。ただし、クリニック開業後のよくある失敗事例として、スタッフが定着しないことが挙げられます。
スタッフが協力的かどうか、さらにスタッフのスキルや能力によって、クリニックの評判が変わる可能性があるのです。そのため、スタッフの採用は慎重に行うことが大切です。
しかし、優秀な人材を採用したとしても給与や福利厚生などの待遇が悪ければ、スタッフは離職してしまいます。したがって、定期的にスタッフとコミュニケーションを取り、待遇を見直すことも必要です。
Webから集客しない
昨今はインターネットで病院を探す患者が多いです。病院のまとめサイトはもちろん、レビューサイトや公式サイトを見て、通院を決める患者もいるでしょう。
そのため、Web集客を活用したクリニック運営が必要不可欠です。ただ、Webの知識がなかったり、予算の兼ね合いでサイト作成などが後回しになってしまうケースも少なくありません。
しかし、開業まもないクリニックは認知度が低いので、Webから集客することが大切なのです。また、単にサイトを作ればいいというわけではなく、コンテンツを充実させることも大切です。
Webの知識がない方は、Web制作会社などの専門家に相談するといいでしょう。
評判が悪くて集客できない
レビューサイトや口コミを見てクリニックを選ぶ患者も多いです。そのため、評判が悪いと集客できず、順調なクリニック経営ができなくなってしまいます。
日頃から患者への配慮を忘れないようにしっかりと対応することが大切です。また、それに併せてスタッフの教育も徹底しなければなりません。
失敗を防ぐためのポイント
ここまではクリニック開業後のよくある失敗事例を紹介しました。ここからは、失敗を防ぐための2つのポイントを見ていきましょう。
3つの役割があることを忘れない
クリニックを開業するということは、その病院のトップに立つということです。院長には、医師という顔があるのはもちろん、管理者(責任者)、経営者という役割もあることを覚えておきましょう。
医師として患者と向き合い、適切な診断、治療を進めていきます。そして、管理者としてスタッフの教育を徹底することが大切です。
さらに、クリニックの運営を円滑に進めるために経営者として舵を取らなければなりません。そのため、医師としての知識はもちろん、マネージメントスキルや経営スキルを学ぶことが大切です。
スタッフを信頼する
クリニックは院長ひとりでは成り立ちません。スタッフと協同してクリニックを運営していく必要があります。
そのためには、スタッフを信頼することが大切です。大切なスタッフに定着してもらい、きめ細やかなサービスを患者に提供できるように、日頃からスタッフのケアも忘れずに行いましょう。
まとめ
今回は「開業医のよくある失敗とは?」をテーマに、開業前と開業後に分けて失敗事例を紹介しました。開業医は医師としての側面だけでなく、管理者や経営者としての役割を担っています。そのため、医療知識だけでなく、マネージメントスキルや経営スキルも習得しておかなければなりません。これから開業を検討している方は、今回紹介したよくある失敗事例を参考にして対策を練りましょう。