クリニック運営の成功のためには、経営管理や人事労務管理など、施術や診療といった医療業務以外もこなす必要があります。しかし、クリニックによっては求めている人材の雇用が難しく、ノウハウ不足や組織体制の整備不足などの問題を抱えています。今回は、これらの課題をクリアする方法として、事務長代行サービスを紹介します。
事務長代行についての概要
クリニックの正常な機能には、健全な医療の提供と、それを支える事務業務の両立が必要です。
経営管理や事務労務管理などの事務業務が正常におこなわれない場合も、短期的には悪影響が現れにくいです。しかし、長期的には経済的損失や患者満足度の低下、医療品質への影響、スタッフの負担増加と離職リスクなどに発展する恐れがあります。クリニックにおける円滑な事務業務遂行には事務長の存在が欠かせません。
事務長の役割
事務長の役割は、経営管理や人事管理、業務管理など、クリニックの運営を円滑に進めるための業務を幅広く請け負うことです。
経営者や医療従事者が、本来の医療業務に集中できるよう支援することが求められます。
事務長代行とは
事務長代行はこれらの事務長の業務をアウトソーシングするサービスです。
クリニックで事務長を直接雇用する場合と比較して、必要に応じた即戦力確保が容易であることが強みです。教育コストをかけずに、優秀な人材を必要な期間や業務量に応じて雇用できます。そのため、クリニックの成長段階や、特定の課題に応じた柔軟な対応が可能です。
また、希望の条件に合う人材をすぐに見つけられることや、クリニックに必要な専門的な知識を持つプロフェッショナルを手軽に確保できる点も魅力的です。外部の専門家がクリニックの現状を客観的に分析・改善点を提案してくれるため、業務の停滞や問題点の早期発見・解決につながります。
また、最新の医療法規や業務改善の手法の提供を受けることで、クリニックの運営を最適化し、生産性向上も期待できます。
事務長代行に委託できる業務内容
事務長代行サービスで代行してもらえる主な業務として、財務管理、人事・労務管理、法務・コンプライアンス対応、業務効率化、患者対応の改善、施設管理などが挙げられます。
財務管理
財務管理では予算作成や財務計画の立案、経費管理、収支バランスの最適化、会計業務のサポートや税務対応が該当します。
経営専門知識が不足しているクリニックや、経営改善が必要なクリニックに特に有用です。
人事・労務管理
人事・労務管理ではスタッフの採用・教育・評価の管理や、労働法に基づいた労務管理、スタッフのシフト管理や給与計算などの業務を請け負います。
スタッフ数の多いクリニックや、労務トラブルを抱えているクリニックにとって心強いサポートとなるでしょう。
法務・コンプライアンス対応
法務・コンプライアンス対応では、医療法規や関連法令に基づく運営管理、許認可の更新や新規取得サポート、監査対応やトラブル対応をおこないます。
法的リスクに不安があるクリニックや組織体制の整備が必要なクリニックにおすすめです。
診療報酬請求・レセプト管理・患者対応業務
診療報酬請求・レセプト管理・患者対応業務は、医療事務スタッフが不足しているクリニックや請求ミスが多いクリニックに有効でしょう。
事務長代行利用時の費用相場
事務長代理サービスの費用は、クリニックの規模や業務内容、契約期間、提供するサービスの範囲によって異なります。
スタッフ数や診療科目の数が多いほど管理業務も複雑になり、費用が高くなる傾向にあります。業務内容においては、財務管理、人事管理、法務対応など範囲が広がるほど、費用が高くなります。
さらに、長期契約であれば月額費用が割引されることがありますが、短期契約では割高になる場合があります。また、都市部と地方、直接勤務とリモート勤務など、雇用条件で費用に差が生じることもあります。
一般的な費用相場
一般的な費用相場として、月額契約では10〜30万円が目安です。
月額契約では一か月あたりの実働日数で価格が変動します。
形態によって費用相場は異なる
特定のプロジェクトや短期的なサポートなどのスポット契約では1回あたり5～30万円程度、開業支援や閉院サポート、採用支援など特定の課題解決やコンサルティングでは10～50万円程度が相場です。
事務長代行の利用頻度が高いクリニックでは月額契約、利用頻度が低いクリニックはスポット契約や従量課金制契約がおすすめです。
成果報酬を支払うケースもある
また、経営改善やコスト削減などの一部業務において、成果に応じた報酬を支払う契約もあります。
この場合、成果に応じた数％～10％程度が報酬となることがあります。これらの費用はあくまで目安です。サービスによっては初期費用や交通費が別途かかることもあり、具体的な費用は各サービス提供者との相談や見積もりで決まります。
利用する際は、サービスの内容や契約条件をよく確認し、自分のクリニックのニーズに合ったプランを選ぶことが重要です。
まとめ
事務長代行サービスの概要と、サービス利用で委託できる業務内容、費用相場について解説しました。事務長代行は、経営管理や人事労務管理など、事務長が担当する業務を幅広くアウトソーシングできるサービスです。クリニックで直接事務長を雇用する際に必要な教育コストや離職のリスクがなく、必要な期間や業務量に応じて柔軟に専門家にサポートしてもらえることが魅力です。事務長代行利用時の費用相場は業務の内容や範囲、雇用形態により異なります。利用する際は、サービスの内容や契約条件をよく確認し、自分のクリニックのニーズに合ったプランを選びましょう。
